【本張り】 | 【強化張り】 | 【人工皮】 |
もともとの三線は、ニシキヘビの皮を張ったものしかありませんでした。
現在では「本張り」と呼ばれるもので、良質のニシキヘビの皮を一枚張ったものです。
しかし、ここ最近になり、沖縄県外にも三線が広まることになった関係で、
蛇柄等をプリントした布地を使った「人工皮」や、
破れ防止のため蛇皮の下に強化用の布を張った「強化張り」などの
張り方をした三線が出てきました。
それぞれの皮の特徴、メリットとデメリットがありますので、以下に解説します。
メリット | 最も音が良い。 |
デメリット | 破れるリスクがあるため、管理が必要。 |
「本張り」とは、ニシキヘビの皮を一枚張った、三線の伝統的な姿の張り方です。
「本皮一枚張り」とも言われます。
※当店で「本張り」の表記がある三線全て一枚張りです
時々「三線の皮って、ハブの皮?」と聞かれますが、違います。
ハブは胴体に張り付けるほどの大きさの皮が取れません。
沖縄では昔から、三線にはアジアから輸入された大きいニシキヘビの皮を使っています。
職人は蛇皮を水につけたり干したりしながら、それぞれの技術で三線に張ります。
本張りのメリットは、何といっても音がいいことです。
高音域まできれいに澄んだ音が出ます。
他の強化張りや人工皮と聞き比べると、音の違いは素人でも結構分かったりします。
音の良さについては本張りの右に出るものはありませんので、
音楽経験があって耳が肥えている方は、迷わず本張り三線を選ぶことをオススメします。
時々人工皮や強化張りなどの三線を買って
「いつもCDやビデオで聞いていた三線の音が違う」という問い合わせがありますが、
やはり三線本来の音は本張りです(もちろんアーティストの録音に使われるような三線は、
皮だけでなく棹も良いものが使われています)。
デメリットは、皮が破れるリスクがあることです。
蛇は、熱くてじめじめした湿度のあるところを好むので、
そうでない寒くて乾燥する気候や環境では皮が破れるリスクが高くなります。
実際のところ一般的に心配されるほど地域差による破れやすさの違いは少ないようで、
破れる時は沖縄でも破れますし、北海道で一度も破れたことのない人もいます。
一年間密封されたケースに入れっぱなしとか、
ストーブの前など非常に乾燥するところに一日中おきっぱなしとか、
そういうことをしなければ大抵は大丈夫です。
三線に限らず、どの楽器でも極端に高温・低温・乾燥・湿気のあるところで
保管すると悪くなるのは同じですので、
そこまで不安にならなくても大丈夫かと思います。
一番のメンテナンスは、「毎日弾いていること」と言われます。
実際、えるおきなわ店内でも、弾かなくなった三線から順番に破れていくように感じます。
いつも弾いてあげることで、皮も振動して馴染んできますし、
持ち主の愛情も伝わって(?)破れにくくなります(^-^)
それでも不安な方はハブ油などで手入れして下さい。
皮が乾燥して白っぽくなってきたら、
お手入れサインですので覚えて置いてくださいね。
ところで、一口に「本張り」と言っても、実はその中でもランクがあります。
ランクの違いの第一は「使用する皮の質」で、
第二は「それを張る職人の技術」です。
いずれも音に影響する要因です。
一般的に知られていませんが、輸入業者や職人がニシキヘビの皮を仕入れる際、
皮の良し悪しによって仕入れ値が変わります。
皮の色や模様、ウロコの目のなどいろいろなものを見て、職人は皮の質を判断し、
製作する三線にあったものを使っていきます。
えるおきなわではこれをお客様で指定できるよう、
「A、B、C」と皮のランク分けをしております。
A、B、Cの順に良質の皮で、良い音が出ます。
それぞれの皮は、写真の見た目は同じようですが、
「Aランク」の方が最も厚手でしっかりとしたヘビ皮を使っております。
通常は黒木などランクの高い棹に使われる皮です。
皮が厚い分、強く張るために高度な技術を要しますが、
皮を強くはることで、高い音まで綺麗に出すことができるようになります。
「Bランク」はその次に良い皮で、縞黒や紫檀などに使われるレベルの皮です。
「Cランク」のものは、あまり強く張ることができず、
ぽよぽよとした感じの音で高音域に弱いです(音の表現は難しいです…(汗))
一般的な入門用の本張り三線(3~5万円台)に使われます。
音色に関しましては、Aの方がCよりもやや高めの澄んだ音色になります。
Cの皮はあまり強く張れないため、低めの優しい音色に仕上がります。
また、A・Bの皮は、張りの強さを調整できますので、
お好みの音色(高め・低め等)に仕上げることも可能です。
ご希望の際には、お申し付け下さい。
なお、職人の腕の違いが最も出るのも「本張り」と言えるでしょう。
人工皮や強化張りと比べ、本張りは一人前に張ることができるようになるまで
何年も修行が必要です。
皮は張る強さで音の高さや大きさが違うのですが、
これはベテランでないと最適な調整ができません。
ですので、本張り三線をお買い上げの際には、職人や店選びが
重要になりますので、決して「ここは安かったから」という
理由だけで選ばないでください。
えるおきなわで取り扱っている本張り(蛇皮一枚張り)の三線は、
三線職人歴50年以上のベテランによって製作・調整されていますので、
安心してお求めください。
メリット | 本皮だけど破れにくい。音もそこそこ。 |
デメリット | 二重に強化しているため、本張りに比べ音は落ちる。 |
「強化張り」とは、ニシキヘビの下に強化用の布を張り、破れにくくしたものです。
そのため「二枚張り」「二重張り」と呼ばれることもあります。
強化張りのメリットは、何といっても蛇皮の「破れのリスク」を軽減していることです。
全く破れない!と断言はできせんが、今のところ強化張り三線で破れたという話はほとんど聞きません。
破れないという点では人工皮も同じですが、
「できればちゃんと蛇皮の三線を持ちたい」というニーズに応えることもできます。
デメリットは、強化用の布を張っている分、音は本張りに比べ劣ってしまう点です。
それでも、初めて楽器や音楽に触れる方にとっては十分な音が出ます。
「三線を始めたいけど破れるのが不安、だけど本皮の三線が欲しい」
という方にはオススメです。
なお、蛇皮にもランクがあるのですが、強化張りには比較的低いランクの皮が使われる事が多いです。
二重に張っているため、最高度の皮を使っても音に限界があるためです。
そこで、えるおきなわでは、少しでもよい音色になるよう、
通常本張り(一枚張り)に使われるレベルの皮を使っています。
※沖縄県内の職人が製作いたします。
余談ですが、本張りと強化張りはどちらも蛇皮なので、パッと見ただけでは見分けがつきません
(実際は使われいる皮のランクは違うので、専門家が見ると大体当てる事ができることもあります)。
一番簡単な見分け方は、胴体を明かりに透かしてみることです。
本張りは皮一枚だけなので、木枠の形などが透けて見えます。
強化張りは二枚張っているため、透けて見えにくくなっています。
メリット | メンテナンスいらずで安価。最も手軽に三線をスタートできる。 |
デメリット | 人工皮のため、本皮に比べ音は落ちる。 |
「人工皮」はその名の通り、蛇の皮でなく、三線用の布に
蛇柄やその他の柄をプリントしたものです。
人工皮のメリットは、何といってもメンテナンスが不要で手軽なこと。
自然に破れることはまずありません。
また、蛇皮に比べ材料費が安価なため、価格も安くなります。
柄も一般的な蛇柄だけでなく、南国風の模様や写真をプリントするなど、多彩なことが可能です。
まさに「気軽に三線を始めたい」という方にはうってつけと言える皮でしょう。
ただ1つのデメリットは、人工皮のため音は諦めなければいけないことです(×_×)
本皮に比べ音が落ちる、と言っても、愕然とするほど音が悪いわけではありません。
多くの人にとっては、最初のうちは本皮とそれほど音が違うとは感じないでしょう。
ですので、深くこだわらずにとりあえず三線を始めてみたいという方は安心して人工皮をお選びください。
何といっても手軽さがウリですので♪
これまで音楽や楽器の経験が結構ある方や、三線教室に通って本格的に学ぶ予定のある方は、
三線初心者であってもできれば本張り三線でのスタートをオススメします。
理由は、音の違いが分かるようになるのが早く、すぐに買い替えることお客様が多いためです。
特にギターなど弦楽器の経験がある方は、人工皮三線の音は少し金属っぽい音に聞こえるでしょう。
初心者向けと言いつつも、人工皮も皮と職人の腕により、意外と音が変わるものです。
えるおきなわでは、このランクを選べるよう「Aランク」「Bランク」として分けております。
「Aランク」は皮を選び、普段本張り三線を製作している職人歴50年のベテランが張ります。
強めの高い音がでます(希望により調整可能)。
「Bランク」は通常の人工皮です。
いずれも沖縄県内の職人によって製作・調整されるものです。
人工皮でも少しでも音にこだわりたい方は「A」をお選びください。